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奈落の向こう側
第21章 ここに連れて来られた日からの記憶
弥「はい、ここに来る時、
覚悟を決めてきましたから」

亮「ご主人を裏切るんですよ。
ご主人に対しての想いを言葉にして下さい」

またまた、つらい感情が込み上げてきました。

弥「はい、とても優しい主人を
私がバカだったために裏切って
しまうことがとても残念で悔しいです」

亮「では、止めてご主人の下に帰りますか?」

弥「できるものならばそうしたいですが」

亮君の視線が厳しくなっています。

ハッとして表情を変えた私でした。

そんなことをしたら主人の命がありません。

弥「いえ、帰りません。
帰りたくはありません」

亮君はホッとしたような顔になり 
亮「良かったです。よく考えて答えて下さい」

これは不味いことを一つでも言ってしまうと
飛んでもないことになると直感した私は
組織が喜ぶような言葉を選ぶようにしました。

でも、ワザとらしいのはかえって不審に
思われるかも知れないので
そちらも気を付けなければと思いました。
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