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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド

「もっと感じて…………結芽 」




腰に手を当てられ、指先で軽く顎を上げられる。


必要以上に身体を引っ付ける事はしない。


社交ダンスですら、もっと密着する筈だと言うのに。


なのに


『mahiro』は、私に近付かなかった。


けれど


彼の、魅せる瞳には、情欲に煙る深緑の色。


決して、いやらしく見える訳では無いのに、視姦されてるように感じるのは、何故?




「その顔………。イイ顔だよ……。その顔は、俺に溺れてるの? それとも此処に掛かった宝石? 」




顎から指が離れて、つつっと首元を移動する。


胸元まで降りて来た指は、ペンダントをすくい上げた。


其処で、私は、我に返った。




「えっ、あっ………… 」


「ん、良し。『良い絵』が取れたと思うよ」




『カーット!! 』ぼんやりした頭の何処かで、監督の声が響いていた。




ぼーっとして、甘い甘~い真紘さんに翻弄されちゃった私は、続けて聞いた真紘さんの言葉をスルーしてしまいそうになった。


至極真面目な声音と、甘~い彼のマスク。


この意味に、気付けば良かったなぁ、私。


今更、悔やんでも後の祭りでした…………。
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