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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド

「は~い。撮影終了です! 打ち上げ参加する方は、こちらに名前をお願いします! 」




助監督の女性の声に、私の耳元で囁いていた真紘さんが、身体を戻して舌打ちをする。


理由は、会話が中断されたから。


真紘さん、結構、話の腰折られるの嫌う人だから…………。


彼がイラついている中で、周りから溜め息が聞こえる。


私はてっきり、真紘さんへの賞賛の声だとばかり思っていたのだけれど、それは私を含めての賛辞で。


私はそれに喜んで、素直な笑顔を周りに振りまいた。


真紘さんの機嫌を、尚一層、悪くさせる事にも気付かずに。


本当にね、率直に嬉しかったのよ、私。


演技なんて出来ない、ド素人でしょ。


なのに…………。


真紘さんの機嫌は、あっと言う間にどんどん傾いて…………。




「結芽、何、気前よくみなに笑顔振りまいてんの? 柚芽の笑顔は、俺だけのモノじゃ無かったっけ? 」




なんて、意地悪を言う。




「…………っ、もう、真紘さんってば………… 」




困った顔ありありの私に、真紘さんは、深い闇を映し出した深緑の瞳で、私を見つめていた。




「なんてね。少し意地悪し過ぎたか? 悪かったよ」




そう言って、私から離れようとする真紘さん。


私は思わず、慌てて彼の服の袖を掴む。




「あっ……ごめんなさい………急に………」




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