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幸せ
第1章 初めて
残業ばっかりで生きている意味が見いだせなくなり、転職を決めた。
25歳にもなって、未来予想図では結婚しているはずだったのに、何もない。何か探したい、自分の時間も欲しいなぁと思って、普通の会社の事務に転職した。

入ってしばらくは、特にできることもなく、給湯室で整理整頓したりしていた。

ある時、「佐々木さん、もう慣れました?」

初めて話かけてきたのは、彼だった。

聞けば二個上だという爽やかな青年が、そう、これから私人生に欠かせない人になる、田中蓮(れん)。

「なかなか緊張が抜けなくて…
早く仕事覚えてお役に立てるようになりたいです。」

「無理しなくて大丈夫ですよ。これから宜しくお願いします。」
そう言ってコーヒーを入れて去っていった。

それから3ヶ月は特に何もなく、徐々に仕事を覚えて任せてもらえるようになり、充実した日々を過ごしていた。

ある日、正式な配属部署が決まり、異動になった。

ダンボールに荷物をまとめて部屋を移動し、案内された席に着くと、
「こんにちは。これから宜しくお願いします。」

隣の席から田中が声を、かけてきた。

「あ、お隣なんですね!
これからお世話になります。宜しくお願いします。」

また会えたことに少しドキドキしながら、これから一緒に仕事できることに喜びを感じていた。
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