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第7章 北川 樹
そんな大変な仕事に、なぜ就こうと思ったのか、何がやりたいとか、深く考えないまま大学行って、在学中に何となく商社の営業職がいいなぁ、なんて思って、興味のあるジャンル受けて、今の会社に就職して以来十数年、やり甲斐も楽しさもそれなりに感じるけど、それはこの仕事でなければならなかったのか、と言われたら、別にそうでもないような気がする。
そんな俺からしたら、先生がなぜ敢えて大変だと判っている産科医を選んだのか、聞いてみたい、と思った…


なんてぼんやり考えてたら、俺の手を握る遙の手の力が、ぎゅうっと強くなる。
握るってか、もはや掴まってる、て感じで。
ハッとして遙を見ると、

「んん〜〜ッ‼︎」

と、真っ赤な顔でいきんでいて。

「その調子!頭見えてきてるからね、上手だよ!」

「大きく息吸って!もう一度吐くときに力込めて!赤ちゃんも頑張ってるの!お母さんも頑張ってね‼︎」

産科医と助産師はエールを送っていた。

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