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毒蜜喰らわば
第11章 蛍庭園が引き寄せるもの

食事を終えると早々に、蛍庭園に行こうと私は茂の手を引いた。
日差しの眩しい中での庭園散歩に胸を躍らせながら交差点へと歩いている時、
ふいに首のあたりが痛くなった。

重だるい。
次第に肩にもずっしりとした重さを感じ出した。
なんだろう?
気分が悪いわけではない。
胃がもたれるだとか吐き気だとか、そういう不快さは無く、
ただただ体が重くなったのだ。

「どうしたの?」

首を回す私を見て、茂が立ち止った。

「具合でも悪いの?」

「ううん、いたって元気・・ただ急に首や肩のあたりが重くなって・・」

左右の肩を交互に擦る私を見て、肩が凝ったんじゃないのと
茂が私の両肩に手を掛け揉み始めた。
その手の感触に気分を良くすると途端に重さが消えていった。
ウソのように、軽くなった。

「わあ、すごい!楠木さんがちょっと揉んでくれただけで肩が軽くなったわ。
 あなたの手、魔法の手なんじゃないの?」

照れ笑いを浮かべる茂に背中を押されて再び歩き出した私だが、
交差点で信号を待っている時、なぜか後ろを振り返った。
誰かが呼んでいるような気がして。
もちろん誰も知った人はいない。
ただ気づいたのは・・
視線のはるか向こうには、
あの恋願神社があるという事・・

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