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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第10章 痛みの問題
 婚約式は、恙無く進みました。
 リアンとローゼルは、父親である領主様から順番に出席者一人一人に挨拶をして、祝福を受けました。


「お目出度う、ローゼル、リアン」
「有り難う御座います」
「リアン。ローゼルを宜しく頼む」
「はい、義父上」

「あなたがローゼルの夫になるとはねえ」
「お祖母様、」
「ローゼルが幸せなら、私は言う事は有りませんよ。お目出度う、ローゼル、リアン」
「有り難う御座います」


 領主様と大奥様の後は、兄のタンム卿、領主様の奥方様、それにビスカスへと挨拶は続きました。その三人は特別な事を言うでもなく、おめでとう、ありがとうの往復だけで挨拶は滞りなく済みました。
 挨拶の後は、婚約に異議の有るものは申し出る様にと言う型通りの言葉が告げられて何事もなく済んで、婚約者二人の宣誓が型通りに行われました。

 その後、親族から花婿へ花嫁を送り出す踊りについて、軽く一悶着有りました。
 ローゼルの義母である奥方様が、ビスカスが親族の踊りを担当する事に難色を示したのです。ローゼルは「兄弟でもない独身男性が花嫁に触るなんて」と失礼な事を言う義母に反論しようとしましたが、ビスカスが「腕以外触らずに踊る」と宣言したので、義母の不満は収まりました。
 ただ、ビスカスはそれだけでは虫の居所が収まらなかったのか、歌も要らないと言い出しました。周りの人々は驚きましたが、ローゼルは特段驚きませんでした。
 そんな事より、ローゼルには気になっていた事が有ったのです。ビスカスの自分の呼び方が、今朝からいつもと違っている気がしていたのです。
それを裏付けるかの様に、自分の前に言葉と共に、ビスカスの手が差し伸べられました。

「どうぞお手を、ローゼル様。最後のお供です」


     *     *     *


 歌の無い手拍子だけの踊りは、滑る様に静かに始まりました。
 ローゼルは兄の手拍子だけで、難なく踊ることが出来ました。その事を、不思議に思うことすら有りません。

 歌や手拍子は、音による踊りの装飾で有ると同時に、複数の人間が踊る際にタイミングを合わせる合図の意味も持っています。普通に考えれば、二人で音無しで踊るというのは、大変難しい事でした。けれどビスカスと踊っている今は、歌も無く触れているのも僅かなのに、これ以上何かが必要だとは、ローゼルは全く思いませんでした。
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