この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏
『 そういえばさ、夏休みにそこで写真展があんだよ 』
その言葉を聞いた瞬間ドキッとした。
それは地域の写真家が主催する、毎年夏に開かれる写真展のことだ。写真部の私は、もちろんその写真展のことも知っていた。
「 それ、知ってる。私 写真部だから 」
『 え?そうなの?撮るの?』
私の一言に遙は前のめりになって食いついてくる。
「 いや、私は撮らない…写真が好きでマネージャーみたいな感じ… 」
少しだけ苦笑いしながらそう答える。正直、写真を撮る事は苦手で。けれど写真が好きで写真部に入った。主に私が部活動として力を入れていたのは書道部の方だった。
『 なんだ、撮んねーのかよー 』
『 その写真展にコイツの作品も展示されるんだってよ 』
「 ……っえ? 」
ヒロの言葉に私は驚いた。写真好きは写真部の部員でしか知らなくて、ましてやこんな見た目の彼が、写真家だなんて。
『 そーなんすよー 照れるなぁー 』
「 まだ何も言ってない…けど 」
はやまった遙のその反応に、少しだけ笑みが溢れる。
「 … 写真撮るんだ 」
『 おうよ、だから見に来いよ 』
「 もちろんっ… 見に行く!」
驚きよりも少しずつ嬉しさが込み上げてきた。彼と私に共通点など存在しないと思っていたし、それに写真好きな友達はなかなか居なかったからだ。
そして 夏休み
私は 初めて 彼の作品と出会う。