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最後の恋に花束を
第7章 大学二年の夏
海岸沿いの駅で電車を降りた私たちは、今日泊まる宿へと向かっていた。
『 コテージなんだよな? 』
『 そうそう、小さいやつだけどな 』
「 よく行くの? 」
『 いや、ここは初めて。』
三人で何気ない話をしながら歩いていると、数分足らずで目的のコテージへと到着した。
小さなコテージが何軒か連なっており、一番手前の建物で受付を済ませた私たちは、荷物を置きに部屋へと向かう。
「 よく予約取れたね? 」
海水浴場から近いそのコテージには他のお客さんも沢山いたので、急な予約にも関わらず部屋を取れたことが驚きだった。
『 あー、んー、まあね 』
少し苦笑いしながら遙が口を開いた。
その表情に少し違和感を覚える。
『 お、ここだ 』
そう言ってヒロが一軒のコテージで立ち止まる。ヒロは受付で貰った鍵を鍵穴に差し込み、扉を開けた。
『 おー!すげー。綺麗じゃん 』
開いた扉の隙間から、遙が一番乗りで部屋に入ると驚きの声を上げる。その声に続いて、ヒロと私が部屋に入る。
「 本当だ、思ったより綺麗なとこ! 」
『 いやー、俺やっぱセンスあるわー 』
ニコニコと微笑みながら、鼻高々に遙がそう言う。三人は荷物をリビングへ置くと、コテージの中を散策してまわった。
『 おい、ハル 』
リビングの奥に続く扉を開けたヒロが、声を上げる。
『 ん? なに 』
返事をした遙はヒロの元へと向かう。それに連れられて私も彼らの所へと向かい、その扉を覗き込んだ。
「 あれ? 」
『 ベッド、足りなくね? 』
「 … 大きいですね 」
私とヒロが、思わず言葉を零した。
寝室であろうその部屋。
そこにはダブルサイズのベットが二つ、隣り合わせに繋げて置いてある。まるでハリウッドツインの様に。