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最後の恋に花束を
第7章 大学二年の夏
『 さっきの、誰? 』
三人で焼きそばを食べていると、ヒロが口を開いた。
私は思わず遙の方へと視線を移す。彼は何も知らないような顔をして、モグモグと焼きそばを頬張りながらスマホに視線を落としていた。
『 カナちゃんの後輩? 』
「 そっ… そう後輩… というか元カレかな 」
苦笑いしながらヒロの顔を見る。
ヒロは興味無さそうに へぇ… と返事すると、焼きそばを頬張った。
『 ヒロ、彼女できた? 』
『 んっ… それを聞くな 』
険しい表情で遙の方を見るヒロ。
ヒロは皆んなに優しく人気者で、ナイスガイという感じなのに、彼女の話は聞いたことがなかった。
「 でも、こないだ食堂で可愛い子に連絡先聞かれてたじゃん 」
『 えっ、マジかよヒロ 』
『 あー まあ 』
『 羨ましー!! 俺も聞かれたかった! 』
『 お前はユミちゃん居るだろ 』
『 ははっ、まあね 』
そんな話を笑いながらしていると、私はこの三人の関係性がどうしようもなく幸せに感じた。
「 でも来年は就活だよねー… 」
『 それなー、ユミちゃんも来年就活だろ 』
『 そうだなー 』
私達の短期大学は三年生。遙の彼女が通う大学は四年生のため、同じタイミングで就職活動が始まる。
『 俺さー 』
少し真剣な表情をした遙がポツリと口を開き、ヒロと私は遙へと視線を移す。その視線に気がついた遙は苦笑いして、再び口を開いた。
『 いや、何でもない 』
苦笑いのまま、私達から視線を逸らす。
いつもと少し違う彼に違和感を感じるも、ヒロは笑って " なんだよー " と言うだけで深く詮索しなかった。