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最後の恋に花束を
第7章 大学二年の夏
その日は、陽が沈んでから花火をした後、海岸沿いにある居酒屋でテーブルを囲んだ。ほろ酔いになってコテージに帰って来る頃には、午後10時を過ぎていた。
『 久し振りに泳いだら、すげー疲れたんだけど 』
『 ははっ、それな分かる 』
私は冷蔵庫に冷やしてあった水を三人分コップに注ぎ、ソファに座る彼らに手渡した。二人とも、アルコールのせいか頬がほんのり赤くなっていた。
「 お風呂、入ってきていい? 」
お酒を飲まなかった私はひとり、ピンピンとしている。昼間も彼ら程はしゃいでは居なかったので、まだまだ元気だった。
『 どうぞどうぞ。レディファースト 』
ヒロがニコリと笑って私を見る。遙はスマホに視線を落としていて、私の言葉が聞こえていないようだ。
「 じゃあ、お先に 」
そう言ってリビングを離れると、二人の喋り声が小さく聞こえてきた。
私が入浴を済ますと、二人は酔いが覚めたようで順番に入浴を済ませる。ヒロが入浴している際、私と遙の二人だけの空間だったが、至って普通にお笑い番組を見ながら他愛のない話で盛り上がった。
そして遙が最後に入浴を終える頃には、0時近くになっていた。
『 ハル、長くね? 』
「 んー… そうかな? 」
『 超眠ぃ… 』
ヒロはそう言って眠そうに瞼を擦る。そんな彼の姿を眺めていると、遙が濡れた髪をタオルで乾かしながら現れた。
『 ハル、おせーよ 』
『 悪い、風呂で寝てた! 』
スッキリとした笑顔を見せる遙。
それに比べてヒロは相当眠そうな表情をしている。
『 俺、先寝るわ 』
ヒロは目を擦りながらそう言い寝室へ向かう。
離れていくヒロの背中を見て、少しだけ私の鼓動が早くなる。
『 えー、ヒロ 早くね? 』
『 おー、悪いな おやすみ 』
「 おやすみー 」
さらりと遙の言葉を流したヒロは、パタンと寝室のドアを閉めた。
そして二人だけの空間に
テレビの音が鳴り響く…
遙はスマホを片手に、テレビを見ていた私の隣へ腰掛ける。私は早くなった鼓動を誤魔化す為に、ソファから腰を上げた。