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エメラルドの鎮魂歌
第2章 その薔薇の秘密は誰も知らない
「…ここは…?」
瑞葉は八雲に抱かれたまま、思わず周りを見渡した。

…見たことのない異国のエキゾチックな花々が咲き乱れ、辺りにはえも言われぬ香気が漂っていた。
瑞葉が初めて見る南国の花のようだった。
「…お屋敷の温室です」
八雲はそっと瑞葉を地面に降ろした。
「いいの?」
誰に見られるか分からない。
歩いて良いのは、鍵を掛けた自室のみと二人で決めていたのだ。
「どうぞ、ご存分に。窓のシェードを下ろしてありますので」
にこやかに微笑まれ、瑞葉は嬉しそうに温室の中を歩き回った。

「…わあ…!綺麗…!」
瑞葉は次々に生い茂る樹々や花々を見て回り、八雲に質問を繰り返す。
「八雲、これは?これは何の木?」
「それはバナナの木ですよ」
「バナナ?果物のバナナ?こんな樹になっているの?
…わあ、本当はあんなに緑色なんだね」
瑞葉は目を丸くする。
飽きることなく、好奇心に瞳を輝かせプロムナードを歩き回る瑞葉に、八雲は胸が熱くなる。

…なぜこんなにも美しいひとが、出歩くことも封じられ、屋敷に囚われた囚人のように過ごさなければならないのか…。
同じご兄弟の和葉様は全ての愛情も、ものも惜しげもなく与えられ、自由闊達に成長されているというのに…!
理不尽な怒りに、身体が熱くなる。

「…あっ…!」
周りの植物に気を取られていた瑞葉は、床に躓く。
八雲は慌てて駆け寄り、抱き起した。
「大丈夫ですか?」
瑞葉は珍しく頬を真っ赤に染め、興奮冷めやらぬ様子で笑った。
「大丈夫。…転んじゃった。
…ふふ…まだ歩くのが下手だから…」
健気さと無邪気さに胸が詰まり、堪らずに強く抱きしめる。
「…瑞葉様!」
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