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孫娘みーちゃんとの日々
第12章 みーちゃん月の女神になる
 病室のドアがごろごろと開いて、みーちゃんが顔だけだして、
「終わりました」とマミーに言うと。マミーの後ろにネクタイを締めた中年のおじさんがいてぺこりと頭を下げた。
「みーちゃん、父親です。初めてね」
「何かご迷惑を掛けているようで、すいません。頑固なところがあってね」
「始めまして、みーです」と少しはにかんで答えてにっこりした。
 ダディはその可憐で絵に書いたような少女が僅かに手を挙げる仕草を見詰めて固まった。胸がきゅんとなってなにかが縮んだのだ。ダディは生まれてこのかたこんな経験は初めてであった。それは暫く続いて実に心地よいものであった。ダディはみーちゃんに心を奪われてしまった。
 それは一瞬の出来事であった。
 みーちゃんがドアを全開にしてマミーを迎え入れるためにて少し下がった。その立ち姿を見たダディはまた胸がキュンキュンしたのであった。生きて動いていているのが不思議なぐらいの可愛さであった。  全体は小さいのだが胸はそれなりにこんもりと二つ膨らんでいて、手足ほっそりして長くしなやかな動きをする。
 ボーとしているダディはそのままに、みーちゃんはベッドの方に行くと、
  おいおいとグリズリィは泣いていた。
「マミー、ラクビーはもうできない。左足が動かないから歩けない。一生ベッド上で過ごすの嫌だ―」
「検査して、手術をすればきっと歩けるようになるわ。信じて頑張るのよ」
 両親が揃ってきて、みーちゃんも来てくれていっぺんに張りつめていたものが堰を切って出てしまったようなグリズリィであった。
「グリズリィ、心配するなよ。その一本の足を動くようにすれば好いんだよ。最悪、足が一本駄目になっても、四本の内の一本、八本の内の一本でまだ何本も足があるぞ」
「えー、なに、みーちゃん、蛸さんじゃないからそんなに足はないよー。二本しかない内の一本が駄目なんだよー」と泣き笑いでいった。
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