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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】





「カラオケ行きたい」




ボソッと出たのは自分でも引くほどの驚き発言。




「え!行く?十和子さん、そういうところ行かない人なのかと思ってた」




「何で?歌い散らかしたい」




「ハハハ!行こう!十和子さんの歌聴けるとかすげぇ嬉しい」




早速行って一颯くんの前で思いきりパンクバンドを歌った。
引いても良いよって開き直ったら何だか解放感。
ノリまくってくれる一颯くんも歌が上手い。
好きな声してる。




「マジで何で今まで来なかったんだろうってくらい十和子さんめちゃ歌上手いね!新たな発見だ、凄い」




2時間絶叫しまくって声が涸れる。
お互いハスキーボイスになって笑い合った。
部屋を出ようとした一颯くんの背中に頭を預けてしまう。




「ありがとう、連れ出してくれて」




「うん、こっちこそ、あざます」




「んふふ、今日の私、誰にも言わないでよ?」




「親父にも?」




「うん、絶対口外しないで」




「わかった、2人だけの秘密」




振り返ってきて顔が近付いてくるから掌でパフッと止める。




「健全なデートなんでしょ?」




「アレ?そういう空気じゃなかったか………残念」




部屋を出て私から腕を組む。
牽制かけたばかりなのに矛盾してるよね。
そうやって何度も落としてきたの。
健全なデートなんて曖昧だらけなのに。
都合良く理由付けてまた弄ぶ。
頭を掻きながら耐えてくれてるのもわかってる。




ちゃんと時間通り家まで送ってくれてバイバイと見送る。
キスしなかったの初めてだな。
時間忘れるくらい楽しませてくれて感謝してる。
シャワーを浴びて夕飯作って、急いで帰って来てくれた亨さんとご飯を食べる。




他愛もない会話して今夜こそは…………
そう思っていました。
同じベッドに入るのに指一本触れて来ない。
セクシーな下着も身に着けました。
どうしてこっちを見ようとしないのですか。




怒ってる……?
おそらく一颯くんとデートしたのは知られているはず。
ずっと家に居れば良いの?
亨さんだけを待ってれば良い?
外に出るなと言われたらちゃんと言いつけ守りますから。
もう誰とも会わない、シない。
あなただけを愛していくから。
だから………………





「抱いてください」








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