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あの海の果てまでも
第4章 新月の恋人たち 〜新たなる運命の扉〜
『…暁。
今、お前の居ないこの屋敷は、まるで火が消えたように寒々しい。
私の部屋のジョルジョーネの絵も色彩を失くしたかのように色褪せて見える。
お前は私の陽だまりだったのだ。
私を照らす光であり、希望だったのだ。
失ってそれが初めて分かったよ。
どんなにお前が大切な存在だったかと。
お前が居なくて寂しい。
心にぽっかりと穴が空いたようだ。
こんな孤独は生まれて初めてだ。
いい大人がみっともないと思うが、仕方ない。
これが私の真実なのだ。

…暁。
倫敦には慣れたか?
言葉は大丈夫だろうが、気候や食べ物は合うか?
英国は日本と違い冬はからりと晴れる日は殆どない。
通年どんよりとした曇り空だ。
お前は風邪を引きやすい。
身体には充分気をつけて、春馬と仲良く元気に過ごしてくれ。
…近々、私は英国に渡る。
お前に会いにゆく。
待っていてくれ。
お前の貌が一日も早く見たい。
お前をこの手に抱きしめたい。

…ああ、なんだか恋文のようになってしまったね。
全く…私はお前のこととなると、てんで駄目だ。
言葉を尽くしても、尽くしきれない。
もどかしい思いだけがこの胸に降り積もる。
まるで不器用な少年のようだ。
こんな気持ちにさせるのは、お前だけだ。
もしかしたら…
…いや、よそう。

…暁烏の啼き声が、遠くに聴こえる。
そろそろ夜明けだ。
もう筆を置こう。

私の最愛の暁へ、愛を込めて…。

礼也』

…手紙はそこで終わっていた。
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