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郁と悠(もうひとつの物語)
第1章 告白
「あのね、悠(ゆう)くんに告白されちゃった」
26才になった妻、郁(ふみ)が僕の耳元で囁きました。それはやっと残暑が終わった秋の始まりでした。夫婦の営みが終わったベッドの上、ふたりとも裸でした。
ふたりはこの春、ほぼ同じころにデパ地下のベーカリーで働き始めました。平日の午後から週3回ほど働く郁は、授業が終わる夕方から同じように働く19才の悠と知り合いました。最初は単なるパート主婦とバイト学生の関係でしたが、一緒に仕事をするなかでごく自然に、姉と弟のように仲良くなりました。そして秋になり、郁が人妻だと知らなかった悠が勇気を出し、恋心を告白しました。
郁は告白に戸惑いましたが、決して嫌な気持ちはしませんでした。それどころか郁も悠に好意を持っていました。しかし人妻である郁はもちろん、節度をわきまえていました。でも僕の隠れていた性癖が、郁の告白話で目覚めてしまったのでした。
それから僕は夜の営みのたびに、郁が悠に抱かれる姿を想像し興奮していました。それは無意識のうちに少しずつ、ベッドの上の言葉で郁を唆していました。そして初冬を迎えるころ、ふたりは不倫の恋に落ちました。
もうすぐクリスマスのある日、僕はこっそりふたりが働くベーカリーを覗きに行きました。そこにはサンタとトナカイにふんした郁と悠が、仲睦まじく働いていました。そして僕はその夜、残業で遅くなると嘘を吐きました。
夜8時を過ぎたころ、デパートの通用口から郁と悠が出てきました。僕は物陰からそっとふたりを見ていました。ふたりは手こそ繋ぎませんが、身体を寄せ歩いていました。そして駅に向かうと、手を振って別れました。僕は少しホッとした気持ちと同時に股間が熱くなりました。嘘を吐いた手前、僕は少しのあいだ時間を潰し、深夜になって家に帰りました。郁はもう、ベッドで休んでいました。僕は何も言わず一人で夕食を取ると、ベッドに入りました。そして何事もなかったかのように朝を過ごすと、仕事に行きました。
26才になった妻、郁(ふみ)が僕の耳元で囁きました。それはやっと残暑が終わった秋の始まりでした。夫婦の営みが終わったベッドの上、ふたりとも裸でした。
ふたりはこの春、ほぼ同じころにデパ地下のベーカリーで働き始めました。平日の午後から週3回ほど働く郁は、授業が終わる夕方から同じように働く19才の悠と知り合いました。最初は単なるパート主婦とバイト学生の関係でしたが、一緒に仕事をするなかでごく自然に、姉と弟のように仲良くなりました。そして秋になり、郁が人妻だと知らなかった悠が勇気を出し、恋心を告白しました。
郁は告白に戸惑いましたが、決して嫌な気持ちはしませんでした。それどころか郁も悠に好意を持っていました。しかし人妻である郁はもちろん、節度をわきまえていました。でも僕の隠れていた性癖が、郁の告白話で目覚めてしまったのでした。
それから僕は夜の営みのたびに、郁が悠に抱かれる姿を想像し興奮していました。それは無意識のうちに少しずつ、ベッドの上の言葉で郁を唆していました。そして初冬を迎えるころ、ふたりは不倫の恋に落ちました。
もうすぐクリスマスのある日、僕はこっそりふたりが働くベーカリーを覗きに行きました。そこにはサンタとトナカイにふんした郁と悠が、仲睦まじく働いていました。そして僕はその夜、残業で遅くなると嘘を吐きました。
夜8時を過ぎたころ、デパートの通用口から郁と悠が出てきました。僕は物陰からそっとふたりを見ていました。ふたりは手こそ繋ぎませんが、身体を寄せ歩いていました。そして駅に向かうと、手を振って別れました。僕は少しホッとした気持ちと同時に股間が熱くなりました。嘘を吐いた手前、僕は少しのあいだ時間を潰し、深夜になって家に帰りました。郁はもう、ベッドで休んでいました。僕は何も言わず一人で夕食を取ると、ベッドに入りました。そして何事もなかったかのように朝を過ごすと、仕事に行きました。