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郁と悠(もうひとつの物語)
第4章 本気
近くまで来ると、悠の部屋の窓が見えました。先ほどと変わらず、カーテンがかかった部屋は明かりが点いていません。僕は早足でアパートに近づきました。その時、部屋の明かりが点きました。僕は思わず足を止めましたが、明かりすぐに消えました。そしてカーテンが開き、窓が空きました。暗い部屋の中から、人物が顔を出しました。郁が裸のまま、窓の外を見ていました。僕はなぜか、足を進めていました。郁は歩く僕に気づいたようで、すぐに窓とカーテンが閉まりました。ただ、遠目からだったので、郁は僕だと気付いてはいないようでした。その時、僕のスマホが振動しました。郁からの電話でした。僕が応答を拒否すると、スマホの留守番メッセージが再生され郁が話し始めました。
『明日帰ります。心配しないで下さい』
メッセージはそれで終わりました。僕は返事も返さず、そのままマンションに戻りました。もう、日付が変わっていました。
翌日、僕は仕事を休みました。ベッドの中で、郁を眠らず待っていました。郁はメッセージ通り、朝10時前に帰って来ました。
「お兄…いたの?」
「うん…休んだ」
「そう…昨日、ごめんね」
郁は大きなバッグを持って、寝室に入って来ました。コートを着たまま、郁は目を逸らしていました。僕はできるだけ冷静に、郁に話しかけました。
「悠は?」
「大学…もうすぐテストだから」
「一緒にいて、楽しかった?」
「…うん、ありがとう」
郁が立ったまま、やっと僕の目を見ました。バッグを床に置くと、郁はコートを脱ぎました。コートの下に、郁は男物のブカブカなセーターを着ていました。太腿まで隠れる大きさで、一見すると何も履いていないようでした。
「郁…下、履いてないの?」
「うん?ショーパン、履いてるよ…」
郁がセーターをめくると、短いデニムのショートパンツが見えました。短い髪にいつもと違う化粧、服装から郁が他人に見えました。郁はベッドの上、寝ている僕の横に座りました。
『明日帰ります。心配しないで下さい』
メッセージはそれで終わりました。僕は返事も返さず、そのままマンションに戻りました。もう、日付が変わっていました。
翌日、僕は仕事を休みました。ベッドの中で、郁を眠らず待っていました。郁はメッセージ通り、朝10時前に帰って来ました。
「お兄…いたの?」
「うん…休んだ」
「そう…昨日、ごめんね」
郁は大きなバッグを持って、寝室に入って来ました。コートを着たまま、郁は目を逸らしていました。僕はできるだけ冷静に、郁に話しかけました。
「悠は?」
「大学…もうすぐテストだから」
「一緒にいて、楽しかった?」
「…うん、ありがとう」
郁が立ったまま、やっと僕の目を見ました。バッグを床に置くと、郁はコートを脱ぎました。コートの下に、郁は男物のブカブカなセーターを着ていました。太腿まで隠れる大きさで、一見すると何も履いていないようでした。
「郁…下、履いてないの?」
「うん?ショーパン、履いてるよ…」
郁がセーターをめくると、短いデニムのショートパンツが見えました。短い髪にいつもと違う化粧、服装から郁が他人に見えました。郁はベッドの上、寝ている僕の横に座りました。