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エリート妻色情飼育
第8章 第七章 親子の野望
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(母さん・・・)

父にわからぬよう何度この名を呟いた事であろう。

悟の母は翌年、事故で死んだ。
幼い悟と幸造を残して。

遊び人の小金持ちのボンボンが運転する車でドライブ中、海岸線でトラックと正面衝突したのだ。
周囲の車を巻き込んだ大事故は新聞でも大きく報じられた。

格好の不倫ネタが平凡な地方都市である幸造の周辺に、センセーショナルな話題を提供したのだった。

遺品を整理しながら信じていた妻への男の手紙や写真を発見すると、幼い悟のあどけない寝顔に気付かれぬように幸造は号泣するしかなかった。

妻を寝取られた男。
そんなレッテルを常に背負いながら、幸造は狂ったように仕事に没頭した。

それまでもそうだったが。

それこそ寝る間も惜しんで働いたのだ。
親から受継いだ小さな薬局を何とか大きくしようと、懸命だったのに。

バブル崩壊のせいで世の中は不況のまっただ中であった。
小さな店は時代の流れに押しつぶされそうに喘いでいたのだ。

一応、裕福な暮しが出来ると期待していた母にとって、そんな窮屈な生活は我慢出来なかったらしい。
日々、金作と夜中まで働く幸造に、女盛りの身体を持て余す母は男に走った。

そして。
男と共にこの世から姿を消した。

幸造はその日から違う男になった。

薄々は母の浮気に気付いていたのかもしれないが、やはりショックだったのだろう。

小金を持つ優男に妻を寝取られた幸造は、かえって吹っ切れたのか幼い悟を抱え、それこそ死ぬ気になって働くのだった。

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