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エリート妻色情飼育
第10章 第九章 箱入り娘
「春香さんは、ご趣味は・・・?」
朴訥な雰囲気で話す井上に、春香は清純な顔に終始笑みを浮かべて聞いていた。

最初は父から隣で座っている秋元グループの御曹司である悟との見合いを、ほのめかされていたのだ。
しかし春香にはハンサムではあるが剃刀のように鋭く冷たい印象のする悟より、温かみのある笑顔を見せる井上の方に好感が持てた。

コロコロ代わる縁談の相手に、自分がまるで父の商売の道具にされているようで嫌な気もしたが、幼い頃から親思いの強い春香にとって最近の父の憔悴を見ていると、何とか自分が役に立てるならと見合いを承諾したのだ。

それでも誠実そうな井上の印象に、春香はホッと胸を撫で下ろすのであった。
二人の雰囲気が解れてくると、他の者は席をはずす事になった。

幸造に対して卑屈に礼を言う佐山を、悟は冷ややかな笑みを浮かべて眺めていた。
愛する一人娘を差出してまでも自分の会社にしがみ付こうとする男に対して、言いようのない嫌悪感を覚えるのである。

そして父と共に企てた残忍な計略を頭に浮かべ、サデスティックな感情をわき上がらせるのだった。
幸造も息子の表情に気付くと、込上げる笑いを隠しながら今別れたばかりの美しい天使を思い出していた。

これから始まる残虐な罠。
汚れを知らぬ清純な天使が、自分達のメス犬として調教されていくのだ。

そんな企みがある事も知らず、春香と井上ははにかむ笑顔を向け合いながら楽しい会話を弾ませるのであった。
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