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エリート妻色情飼育
第26章 第二十三章 罠
「おやめ下さい、社長・・・。
いくら何でもその言い方は失礼ですわ」

春香の肩をギュッと抱いて、裕子は毅然とした表情で叫んだ。
裕子の腕の中で、春香は不思議そうに聞いていた。

どう弁解しても同じなのだ。
裕子の強さが理解出来なかった。

しかし同時に嬉しかった。
こんな時にでも裕子は自分をかばってくれている。

自分だって死にたい位恥かしい筈なのに。
極限状態の頭の中で春香は裕子への愛を感じていた。

自分達の恥かしい痴態がかえって、誇りに思える程だ。

「な、何やその態度は・・・開き直ったんか?」

裕子の強い口調に一瞬たじろいだ社長だったが、それでも口元を歪めて聞いた。

「確かに私達は愛し合いました・・・。
それは、私が春香の事が好きだからです。

無断で社長室を使った事はお詫び申し上げます。

だけど、このビデオは明らかに社長が知っていて
見せたのでしょう・・・?」

裕子の堂々とした言葉に、何時しか春香は顔を上げて聞いていた。
涙は止まり、潤んだ瞳を恐る恐る周囲に向けている。
春香を抱きしめる裕子の腕の強さだけが、怯える心を支えてくれていた。

「フンッ・・確かにそうや・・・。

ワシはお前らがレズッた最初の日に
ベッドが湿っとるのを発見したんや。

それで隠しカメラをセットしといたんや・・・」

春香の顔が見る見る内に真赤になっていく。
全て見られていたのだ。

「す、すると・・・?」
初めて声を出した春香に、残忍な表情を見せて幸造が言った。

「そうや、悟も知っとる・・・」
再び春香の胸に衝撃が走った。

専務も観てしまったのだ。
自分達の痴態を。

さすがに裕子も言葉が出なかった。
春香の頭に婚約者の井上の顔が浮かんだ。

優しい顔が微笑んでいる。
しかし、その愛する男もこの事を知ったら去っていくだろう。

春香の瞳が涙で滲む。
裕子がどう戦ってくれたとしても、もう遅い。

以前の綺麗な身体には戻れないのだ。
重く沈む春香の気持ちがわかるのか、裕子は最後の力を振り絞るように言った。
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