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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
 


 ナツの蜜をまぶしたような瞳が揺れる。

 それはナツの声までも熱く揺らして。


「僕は、もう王子の身分では…」

「そういう意味じゃないわ。私の……運命の相手に、なって欲しいの。愛し愛されたいの。……死がふたりをわかつまで」


 ナツの顔が一瞬泣きそうに歪んだ。


「……ナツは…、嫌? ここまでは重すぎる?」


 ナツの悲痛な歪みは苦悶のものとなり、あたしは哀しくて唇を噛んだ。


「違う、夢じゃないかって思って……」


 あたしの落胆めいた声にはっとしたのか、ナツが慌てて俯いたあたしの顔を両手で持ち上げ、そして不安気に聞いて来る。


「これは夢?」

「違うわ。私のナツへの想いを夢にしないで。

好きなの、ナツが……。ずっと一緒にいたいの、未来を」


 ナツの片目からほろりと涙が零れた。


「ナツ……?」

「……ああ、もう僕は幸せすぎて、満足だ。僕は……たどり着けたんだね」



 ナツはあたしの額に、静かにゆっくりと、柔らかな唇を落とした。微かに唇を震わせながら。

 どの鏡も映すその姿は、まるで聖なる誓いのよう。


 そして笑った。蕩けてしまいそうな、幸せそうな笑みで。


「喜んで。僕だけの姫。

僕のすべてを、あなたに捧げます。


捧げても捧げても捧げ足りないくらい、僕はあなたを愛してる」


 真摯なる想いがあたしの心に直撃して、思わず涙が零れた。


 どうしよう…。

 ねぇ、どうしよう。


 愛するひとに愛されるってここまで幸せに思えるの?

 ここまで生きていてよかったと思えるものなの?


 好き。

 あたしはナツが好き。

 
 止めどなく膨れあがる想いが、身体を巡る熱となる。


 ああ、ナツのその魅惑的な身体で、あたしを溶かしきって貰いたい。

 別々の身体でいるのが、抱える想いが、あまりにも大きすぎて苦しいの。


 ひとつになりたい――。
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