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第26章 Secret Story　大樹 × 杏奈

｢うぅっ…ふ、…っふぅう…｣


様々な思いが込み上げ、どっと溢れた涙。


耐えきれなくて、大声を上げて泣いてしまった。


｢…っ何で泣くんだよ…｣


こんなに大泣きしたのはいつ以来だろう。


…蒼汰さんに無理矢理抱かれた日以来だ。


何年も前だけど…


｢なぁ、杏奈…｣


切なげに呼ばれる自分の名前も、大泣きしてるせいで全く聞こえない。


そっと頭に触れた大きな手に驚いてびくりと体を震わせ、思いきり振り払う。


はっきり傷付いた顔をされて、更に涙が溢れる。


｢杏奈…｣


｢…嫌いです｣


｢…あ？｣


｢大樹さんなんて嫌い…｣


｢…っ｣


｢何度も言いますけど、あたしは杏奈です。
こんなの絶対だめなのに…っ浮気になっちゃうのに。
あたしはあなたの大切な美咲さんじゃない…
絶対に、絶対美咲さんに言いませんから…
あたしを離してください。こんな事しないで…｣


｢…何で？｣


｢っ、何でって…。変な事聞かないでください。
あのですね、あたしはあなたのものじゃないんです。
あなたの友人の、…っ、彼女…で、
あなたとあたしは面識がないくらい他人なんです｣


｢…｣


今は、こう言うしかない。


｢あなたの大切な女の子は、美咲さん。
あたしは杏奈です。美咲さんじゃない…｣