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incest
第1章 親愛なる兄貴へ
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遠い街でサラリーマンをしていた一番上の兄貴、輝明が交通事故で死んだと連絡があったのは、次の日曜の早朝だった。
取り乱す母ちゃんから黒電話の受話器を奪った優人の表情は険しく、その日は慌ただしかった。

通夜でも葬式でも納骨でも、私は泣けなかった。
だってハッキリ言って輝明には全然愛着がないから。
遠い親戚より近くの他人とは言ったもので、私と輝明は一回り以上年が離れていて私が物心ついた頃には遠い都会の街で暮らしていたから、会うのは盆正月のみ。
他人行儀な兄妹など他人とどう違うだろう。

一滴の涙すら搾り出せなかった私を母ちゃんは冷たい子だとなじったが、事実そう思う。
しかしそのせいで面倒なことが起きた。
どこかの遠い街の公立中学校で体育教師をしていた真ん中の兄貴、和義がわざわざ学校を辞めて、うちに帰ってきてしまったのだ。

和義の考えはこうだった。

「加奈子が泣かなかったのは親父だけでなく兄をも亡くし、自分が実家にいる以上ばあちゃんと母ちゃんを支えてやらなければと強がってのことだろう。年若い妹ひとりにそんな重荷を背負わすなんて次男としての恥!こうなったら俺が是が非でも実家に戻ってばぁちゃん母ちゃん加奈子の生活を守ッテヤラナケレバ!」

まぁこんな感じで、夕日に突っ走って教師になってしまったような、和義持ち前の正義感を発揮した結果だろう。

ばぁちゃんと母ちゃんは和義の帰還に大フィーバーしたが、私は正直嫌だった。
和義は私より10上の25歳なんだがジジ臭く説教ばかりで兄貴の中で一番嫌いだったから。

顔見たら、勉強しろ、勉強しろ、勉強しろ。
あー、うぜー、死ねよ。
とりあえずどーにかしてウチの街の公立中学校で勤めだしてくれたから家計的にはたぶん助かってるけどー。
朝晩顔を合わせるたびに口うるさいステレオタイプ。
そして、私を影で殴るのに、和義の前では気弱な母を演じるババアと、真の死にかけババア。
クソみたいな日常。

「あの熱血マジうぜーから会いたくねぇ。」

そう言って、優人は実家に来なくなった。


溜まる性欲とストレス。
募る寂しさと苛立ち。
私のからだが不透明になってゆく。

優人兄ちゃんが恋しい。
指じゃ足りない。
優人兄ちゃんが欲しい。

ああ、もう、だめ。

気が狂いそう。
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