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incest
第1章 親愛なる兄貴へ
翌日、翌々日も和義とは会話をしなかった。

和義はすっかり酒に酔っていて忘れてしまったのだと思っていたが、3日経った土曜日。

急に和義に買い物に付き合ってくれと頼まれ車で家を出た。
煙草をくわえる唇、横顔を見るとあの晩のことを思い出したけど、運転席にいる和義は普段の威厳ぶった兄貴と全然変わらなかったからあまり実感はなかった。

和義は国道沿いのスーパーへ車を走らせた。
駐車場はチラホラ車が停まっていた。

兄貴はエンジンを切ると唐突に「おれお前を抱いたよな」と言った。
トラックや乗用車が国道をブンブン走っている。
和義はそれを見つめている。
ハンドルに両腕とあごをのせて。
私が「うん」と答えると、和義は「アァー」と言って両手で顔を押さえた。

アレだよ、酔っぱらってて、わけわかんなくなってな、ごめん。
なにして詫びたらいいかわかんねぇけど、ごめん。
許してもらえないかも知れないけど、なんでもするから、許してくれ。

和義は頭を下げた。
日に焼けた浅黒い首筋が見えた。

あの晩のことを覚えていたことは驚きだった。

「マオと妹を間違えるとか、サイテー。」

わざと悲しそうに言う。
和義はごめんと更に深く頭を垂れる。

私とマオ、似てたの?
まさか、全然違う。
じゃあどうして?
制服だったから。
はぁ?
ごめん、兄ちゃん、生徒と付き合ってた。
えー!ロリコン!きもい!
ごもっともだよ。なんて詫びたらいいか分からない。
どれくらい付き合ってたの?
3年くらいかな。
なんで別れたの?
ふられた。
どうして?
わからない。
ふぅん、ご愁傷様。

和義はハンドルに顎をのせたまま目を伏せていた。
あの時の和義の感覚が蘇る。

「酔っ払っててあんだけ強けりゃ、シラフだと相当遅漏なんじゃない?相性が悪けりゃ嫌かもね。」

図星、といった顔でため息をつく和義。

「でも私は遅いほうがいいと思うけど?先にイカれると、虚しくなるよ。」

和義が私を見る。
視界に黒い手が伸びて、昨日優人につけられた歯形に触れられる。

「こんなときになんだけど、おまえの男には黙っておけよ、嫉妬深そうだから。」
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