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秘蜜に濡れて
第1章 今宵、星が零れたら。
机を片付けて時計を見上げた。

6時半を回ってはいるけれど、ここ数日よりかなりまともな時間に仕事が終わった。

「相馬さん、お疲れ」

担当する営業の一人、黒沢 雪哉が正面のパソコンの横から顔を出して声を掛けた。

「お先に失礼します」

社内用の小さな鞄を持ち、パソコンの電源が落ちた事を確認してフロアを後にする。

ガラスドアの向こうに息を切らしたもう一人の営業担当、高遠 圭吾が立っていた。

「お疲れ様です、お先に失礼します」

「あ、あいり、この後空いてるだろ?」

「ちょっ、まだ社内…!」

あぁ悪ぃと言葉に出したものの反省の色は皆無だった。

「下で柘植と持田に合流しとけ」

自分の都合だけを押し付けてデスクへと戻って行くのをため息と共に見送った。

ロッカーで制服から私服に着替え、エレベーターで下に降りると、ロビーには確かにその二人が待っていた。

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