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BLACK WOLF~crime~
第8章 雨ノ夜
「はい…」

レンゲでお粥をすくいながらハルちゃんの口へと運んでいく。

「自分で食うよ。ガキじゃねぇんだから…」

「でも…」

顔を真っ赤に染めるハルちゃん。

やっぱりまだ治ってないみたいだ。

ハルちゃんは私の手からレンゲとお碗を受け取り、フーフーと吐息でお粥を冷ましながら渋々といった感じで食べだした。

「見てるだけでお似合いだよ。黒埼に見せてやりてぇなぁ」

私達の後ろで桜木さんが楽しそうに喋っている。

お似合いとかそういう問題じゃなくて、病人や怪我人を看病するのは当たり前のことでしょ?

「黒埼じゃなくて、そのガキに乗り換えたらどうだ?一緒に眠る仲なんだし」

…さっき、食事を運んで来てくれた際に見たんだ。

私とハルちゃんが一緒に眠ってるところ。

でも、それは毛布が1枚しかなかったからだ。

ハルちゃんが気を使って私に毛布を貸してくれようとしたからだ。


「桜木さんには、関係ないでしょ?」

私が誰とどうなろうがこの人には関係無い。

この人は黒埼さんに復讐出来ればそれでいいのだから。


「黒埼の顔が見物だな。自分の女が恋敵である幼馴染みと1つの布団で眠ってたなんて」



……本当に嫌な奴だ。

大体、いつまでここにいる気?

昨日は食事を渡したらさっさと部屋から出て行った癖に、どうして今日は私達を監視するみたいに見張ってるの?

食事を摂る私達の姿がそんなに面白い?


壁にもたれながら私達の事をただ、じっと見つめてるだけの桜木さん。

一体、何を━━━━━━━



カシャンッ!



「んぐっ」

「え…?ハ、ハルちゃ…っ!?」








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