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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋
「はぁっ!?さっき、俺のこと羨ましいとかどうのこうの言ってた癖に、よくもまぁそんな事が言えたもんだな、オイッ!」

「てめ…っ、盗み聞きかっ!?いい根性してんじゃねぇかっ、あぁっ!?粗暴な上に盗み聞き…、呆れた野郎だなっ!!」

「盗み聞きじゃねぇっ!ノックしようとしたらてめぇの声が聞こえて来たんだよっ!!だから話が終わるまで待ってたんじゃねぇかっ!人聞きの悪いこと言うなっ!!」

「それを盗み聞きって言うんだよっ!!大体怪我人に向かって松葉杖を降り下ろしやがって、怪我が悪化したらどうするっ!?舞に当たりでもしたら…っ」

「怪我が悪化~?病室でヤろうとしてた奴がこれくらいで怪我なんかするわけねぇだろっ!!それに、舞じゃなくてお前だけを狙ったんだからなっ!!」

「はは…、その割りには仕止め損なったみたいだな~?笑っちまうよ…。舞を抱いてる俺がそんなに羨ましいか?あ?」



火花をバチバチ散らしながら口喧嘩で争う2人。

いつもなら見てる私が呆れてしまいそうな光景だが、何だか今日はこの光景すら懐かしく感じる。

懐かしい…。

「はぁーっ!?俺の方が舞に付いては詳しいんだよっ!!じゃぁ、てめぇは知ってんのか?舞が昔蛙のグッズをひたすら集めてたこと!学校帰りに用水路に落ちたこと!俺の家で昼寝してた時におねしょしたことっ!」

「悪いが舞のことなら俺はスペシャリストだ。どこが感じるか、どこをどう攻めればイクのか…、どんな言葉攻めが好きかまで全部頭にインプットされている。お前の出る幕はない…」



……前言撤回。

全然、懐かしさなんて感じない。







でもハルちゃん、さっきの黒埼さんの話、聞いてたんだ。

それに黒埼さんも、いつもみたいに意地悪をせずにハルちゃんからの口喧嘩を買ってしまっている。

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