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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い

そして、今日────。
彼女が発した、もっと私を欲しがって、と俺に向けたストレートな言葉が頭から離れない。
なんて激しい願いなのか。
その願いの前では、自分の決意など、もう。
……だって俺はずっと彼女が好きで。
自分を見失うほど、好きになってしまっていて。
いつのまにか、俺を求める彼女の眼差しに……言葉のひとつひとつに、応えたいという思いが沸き上がっていた。
無理だ、と──彼女を苦しめるだけだと頭の中でその感情を止める、いつものどこか常に冷静な自分の存在は確かにあった。
けれど、彼女の俺を欲しがる想いの強さに。
自分のこともどうか欲しがってほしいと願うその心に、言い訳や誤魔化しなどすべて飛ばされてしまった。
冷静さなど、もう消されてしまった。
そして残されたのは、ただもう彼女への想いだけで。
まだ、感触が残る唇を指先でなぞる。
あの言葉。
あの唇。
……そう、そして交わした口づけ────。
これほどまでに俺は彼女を求めていたのだと、触れ合った瞬間に自覚した。

