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シリウスの小説執筆方法論
第5章 語尾の止め方 〜『過去形』と『現在形』〜
筒井康隆『創作の極意と掟』という本です。


彼は路地を奥の方へ進んで行った。
塀があった。
行き止まりだった。
彼は周囲を見まわした。
通り過ぎたばかりの二軒うしろの家の前に見覚えのある自転車が置いてあった。
静子が乗っていた青い自転車だった。
ひどく汚れていた。

(上記の文を)いくら何でも「た」が続き過ぎだと思う読者もいるようだが、別に気にならないという読者もいよう。
なぜならこの文章には主人公である「彼」の感情がいっさい書かれていず、とんとんとストーリイが進行しているからであり、余計な内面描写が嫌いで早く筋道を追いたい読者にとっては気持ちがいいからだ。
気になる、という読者のためには「自転車が置いてあった」の語尾を「置いてある」にすればすむ。
それを殊更同じ語尾にするのは、現在形を避けて、乾いた過去形にするためだ。
「置いてある」という現在形にすれば、語り手の視点がここにあるぞと読者の注意を促すことになる。つまり一種の三人称多元描写だ。
どちらがいいかの判断は小説全体の描写にかかわってくる問題で、どちらにもそれなりの効果があるとしか言いようがない。



結論的には、小説全体を通じての問題で、乱暴な言い方かもしれませんが、ストーリー重視なら過去形を多用して淡々と起きた事象だけを書く方がいいし、登場人物の内面重視なら、現在形を使い、登場人物の視点を強調する、といったところでしょうか。
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