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月下美人
第3章 月下美人 -憧れ-
「私は土日休みですよ」
「休み使ってこっち来いよ」
「行っても神田さんお仕事じゃないですか?会えないですよ」
「終わったら遊べる」
「何時に終わるんですか?」
「一時」
「深夜じゃないですか!」
いつものやり取りで、毎回神田はこうやってりさをいじめて遊ぶ。
神田の仕事は時間が定まっていないため深夜まで行うこともある。
疲れているはずなのにあんまり変わらない神田にさすがだなとも思うし、周りの人たちは神田は野獣だと言うのも分かる気がした。
それだけ神田は走り回って仕事をしていた。
「あ、でも来週は私三連休なんですよ」
「遊びに来れるな」
「確かにそうですけど、交通費出してくれるんですか?」
「ださねーよ」
「なんですかそれ」
「彼氏は?」
「月曜は休みじゃないですよ」
「なら来れる」
「行ったとしてエスコートしてくれるんですか?」
「いいぞ、海もあるし茶畑もあるし観光する場所をエスコートしてやる」
今日はなかなか神田がこの話題から話をそらしてくれなくて、
でも少し困ったが誘われてることにりさは、
ドキドキとしてしまっていた。
「もう、神田さん!」
「待ってるからな」
神田の声は、いつも低く坦々としていたため本気なのか遊ばれてるのか、たまにわからなくなる。
だから、ドキドキしてしまうんだと、りさは自分の気持ちをそのように取っていた。