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月下美人
第3章 月下美人 -憧れ-
それがちょうど一週間前のやり取りだ。
でも毎回誘われてたのは事実。
「あれは、嘘だったんですか?」
「嘘ではないけどなぁ」
「遊ばれたんですか、わたしは」
見上げていた顔をまたしゃがんでいた膝に埋めて悲しみを表現した。
いや、実際悲しいし今ここまで来た自分が恥ずかしい、
とりさはさらに縮こまる。
「そうネガティブに捉えるなよ、ほら行くぞ」
「え?ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
神田はりさを置いてその場から歩き出した。
それをりさは慌てて追いかける。
「ほら遊びに行くぞ」
「どこにっ?」
神田の歩く速度が早く小走りでりさは、追いかけ隣に並んでもやっぱり足の長さが違うため小走りになってしまう。
「エスコートするって言っただろ」
ぶっきらぼうに神田はりさを見ずに夏のくもが広がる青空を見て言い捨てた。
その言葉にりさは、久しぶりにドキドキとワクワクが入り交じった気持ちになった。
「楽しみにしてますよ!」
神田の歩幅に合わせるのは大変だけど、これからどこに連れていってくれるんだろうと気持ちを弾ませた。