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月下美人
第3章 月下美人 -憧れ-
「茶摘み体験」
「やってみたかったから、付き合えよ」
こんな暑い中、まさかさっきの事務所と同じように茶畑がさらに広がる場所へとつれていかれた。
迎えてくれたのは映画やテレビでみるような割烹着を着たおばちゃんが出迎えてくれた。
夏でも摘む葉っぱがあるようで、おばちゃんがどのように摘むのかを丁寧に教えてくれた。
以外と集中すると楽しくて時間も忘れて、収穫かごには結構な茶っ葉が入っていた。
茶畑のおばちゃんが集中していた神田とりさに声を掛けて、互いに時間を忘れていたことに笑いあった。
「冷たいお茶でも飲んでいきなさい」
おばちゃんはタイミングよく冷たいお茶を出してくれて、りさと神田が飲んでる間に先程収穫した茶っ葉分量を袋づめしてくれた。
茶畑はすこし高い丘にあるため眺めがよくて、青々とした茶畑と夏の青空がとても綺麗で心がほっこりした。
「神田さん」
空を見上げていたらすこし離れて座っていた神田がすこし船をこぎだしていた。
いつもいつも朝から遅くまで働いている神田は、昨日も遅かったに違いない。
それなのにりさは、自分がわがままを言ってしまって休みを奪ってしまったことに今更ながら気がついた。
「神田さん!」
「ん?」
「今、寝てましたよね?」
「んー、一仕事したからな」
「帰りましょう」
「おまえ、来ていきなり帰るのか?まぁ、好きにすれば」
神田の言葉を遮って、すこし眠たそうにしている神田を覗き込みながら言い切る。
「違います、神田さんのホテルです」
「おまえな…」
神田の目はきりっとした切れ長だが眉はすこし垂れているため、困った顔をするとすぐ表情に出てしまう。