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月下美人
第3章 月下美人 -憧れ-



「それ意味わかってんのか?」
「下ネタは聞き流します」

茶畑のおばちゃんからお土産のお茶っ葉をもらい、行きますよと神田に強く言った。
今度はりさが先に歩き出しとりあえず着た道を歩く。
すると後ろからおばちゃんに挨拶をした神田が付いてきた。
そして、すぐにりさに追い付いた。

「バテたか?」
「わたしは元気ですよ、とにかくホテル教えてください」
「おまえは前から強情だな」

そんなに過ごしていないと言うのに自分の性格を言われたりさは、なんとなくマイナス面でも嬉しく思った。
歩いてきた茶畑から、そして最初にたどり着いた事務所から20分ほど歩いた先に転勤し今住んでいる神田のビジネスホテルがある。
手慣れた感じにフロントを通りエレベーターに乗り、六階の角部屋へ案内された。
神田はいつも帰ってくるときのように鍵を入り口のそばにある棚へと置き、奥の部屋へと入っていった。
ホテルと言っても独り暮らしの部屋になっていて、住むには不自由しない部屋になっていた。

「おじゃまします」

よくよく考えたら男一人が住んでるホテルに女の自分が入ることに今更ながら緊張したりさは、ぼそりととりあえず挨拶をした。
でもりさは、とにかく疲れてる神田をゆっくり休ませたいと思ってした行動で、確かに神田が言っていた意味というのも今だからなのか意識してしまったからなのか顔が熱くなる。
神田に気がつかれる前に休んで貰おうと思いきって部屋へと入っていく。

「神田さっ、うわっ」

勢い余って立ち止まっていた神田にぶつかり、受け止められなかった神田もよろけてしまい倒れるっと、
ぎゅっとりさは目を瞑り、
来る痛みに身構えた。



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