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写性 …SHASEI…
第12章 芍薬
それは、両親を知らずに育った沙絵が、近しい年代の僕にそれを求めていただけだと、恋愛からの思いではないんだと言うことは出来なかった。


記念碑に行き、水やりをして、小さな可愛い蝋燭を灯す。

「沙織、僕は沙絵とずっと一緒にいて、守っていくからね。」

声に出して思いを告げると、沙絵が隣で目を瞑っていた。

「お父様、私の絵を描いて…」

沙絵に促されてアトリエにいった。

道具の準備が整うと、沙絵が椅子から降りて立ち上がる。

「お父様、私のことを見て、私を描いて…」

沙絵が言いながら帯を解いていく。

「沙絵?」

「私を見て、私を愛して、絵にして…」

着物を開く沙絵の体は、六歳のものなのに、
その妖艶さと、愛に飢えた切実な思いに、グッと魅了されていった。


僕は筆をとり、それで沙絵の体を愛でるように、紙に写していく。

ひしひしと伝わる沙絵の思いを紙に留めていった。


沙絵は僕が筆を置くまで、僕の視線に耐えて、じっとしたまま着物を開いた姿勢で立ち続けた。

「沙絵出来上がったよ。」


沙絵が近づいてきて、絵を覗く。

「綺麗、お父様、ありがとう。」


抱きつかれて心臓が跳ねる。
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