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刑事とJK
第99章 根城の裏で笑う者~前編~




「オレは逃げた。
だから、もう逃げねぇ」



「…」




何から?と聞きたくて、口を開こうとした瞬間に、先に言われた。




「おめぇは逃げてぇのか?」



「いいえ…逃げたくありません。
でも…」




握っていた拳に、力がこもる。




「現実を目の当たりにすると…体がそれを拒絶してしまうんです…」




「…」




「僕はそうやってずっと…逃げてました。
頭じゃ"逃げるな"って叫んでいるのに、なのに…」




「おめぇ、何のために刑事になったんだよ」




「…!!
僕は…!!」





気がつくと、拳を崩した手は斉藤の胸ぐらを掴んでいた。


しかし何にも動じない目が、震える自分を見下してくる。





「あいにく、野郎の過去話に興味なんてねぇもんでな」





バッと嘉山の手を払うと、斉藤は部屋を出た。





「…」





_________







「藤野ー」



「お、斉藤か。
何だ?」




藤野が仕事でパソコンに向かっている傍に、斉藤が近づいて来た。


その後ろには、嘉山もいる。




「すぐ済むから、いいか?」



「ああ、何の用事だ?」




「ちょっと立って、後ろ向いてくれ」




「?」




斉藤の意味のわからない頼みに、藤野は首を傾げつつも椅子から立ち上がった。




「俺、何かしたっけ?」


「いいや。
そのままでいろよ」




背中を見せる藤野の後ろで、斉藤はしゃがみ込んだ。



そして背広を少しめくり上げる。





「…何してるんだ?」




「…ケツ見てる」




「はああ!!!??」




藤野は慌てて斉藤から離れ、真っ赤な顔をさせて怒鳴り散らした。





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