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刑事とJK
第65章 トムおじさんの正体





斉藤は怒っているように見える

が、ゆうひと長谷川には、
それは嬉しさの裏返しだということが
手に取るようにわかった






「まあ斉藤、落ち着け」





長谷川は斉藤をなだめた




「…」




斉藤は手を下ろした




『…』




なるほど、長谷川さんがあたしを助けてくれたとき
何で斉藤と間違えたのかがやっとわかった




斉藤に、全てではないとはいえ
格闘を教えたのが長谷川さんなら

斉藤と動きが似ていても仕方ないな…





「…長谷川さん、何で言ってくれなかったんだ?」




…生きてたってこと…






「アメリカでの犯罪捜査に当たって、
銃で撃たれたのは事実だ」





長谷川は服をめくって、
腹に出来た生々しい銃痕を見せた




『っ…』





見ていると自分の傷痕まで疼き、
ゆうひは自分の腹を押さえた





「瀕死の重体になってね…
もう助からないと判断されて、
仲間の刑事が俺の日本の知人に
早まって手紙を出してしまったんだ。
長谷川は死んだってね」





その手紙がオレのところに届いたのか…




「でもそこから劇的に回復してね。
"やっぱり生きてました"って連絡するのがめんどくさかったから
何も言わないでおいたんだ」





ははははと長谷川は大笑いした






「こっちがどれだけ落ち込んだか…」



と、斉藤は手を震わせたが、
手はあげなかった














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