作者ページ
月椛さんの作者ニュース
【密やかな愛慕に花笑みを】読者様へ
【番外編*恋草】やっと書き終えました。長いページにお付き合い下さった読者様、ありがとうございました(*ノωノ)
次の番外編は少しお休みを頂いてから再開します。
下記は恋草のおまけです(単純に私自身が消化したいだけ。笑)
――――
私はうとうとしながら彼の残り香に包まれていた。覚悟を決め、あの後もたっぷりと愛でられた後で一人シャワーを浴びた。一緒に入ると聞かない彼を何とか宥めて、先程やっと渋々彼もバスルームへ消えた。
彼を待っていたいけれど、残り香が脳にまで届き、安堵と疲労で今にも眠ってしまいそうだ。
そうだと想い付き、鞄に入れたままのiPadを手繰り寄せる。検索サイトに【美少女 二次元】と打ってみると、制服に身を包んだ少女がずらりと画面に並んだ。皆がきゅるんと瞳を揺らし、上目遣いでこちらを見ている。
「……全部同じに見えるんだけど……」
そう呟いたとき、寝室のドアが開いた。
「……何しているんだ?」
スウェットに身を包んだ彼が、背後から抱きしめてくる。ふわりと漂う男の匂いに誘われそうになるのを堪えて、私は画面を見詰めたまま言った。
「とびきりの美少女探しです」
「……美少女探し?」
「はい、それも、二次元の」
真面目に言う私に彼はこう言った。
「橙禾……まさかと想うが橙禾も……」
「……はい?」
さすがに聞き捨てならなくて振り返った。彼は酷くショックを受けたような顏をしている。
「違います。これはロリコン好きの松井さんの為です」
「……は?」
「私を励まして下さったお礼に、とびきりの美少女を紹介すると約束して」
「なんだそれは」
「えっと……今日松井さんに秘密の会議室に拉致されて」
「……なんだって?」
「それで色々とお世話になって」
「……おい」
「その御礼に――でもこれ、皆同じに見えませんか? 央稀さんはどの子が美少女だと想いますか?」
画面をスクロールしながら聞いているのに、全く返事がない。振り返ると、彼は殺意を放って目を細めていた。
「あの……えっと……間違えました……拉致じゃなくて」
やっぱり試す様に言うんじゃなかった。彼に冗談は通じないのだ。私の事になると特に。
もごもごと言い訳を零したが、「明日抹殺しておく」と物騒な事を言って彼はiPadを奪うと、乱暴なほど口唇を塞いできた。
――ああ、また欠勤か。
| 関連小説リンク |