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曖昧なままに
成巳京
イラスト黒田うらら
発売日 | 2017/11/1 |
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出版社 | 一迅社 |
本体価格 | 1,200円 |
バツイチ三十男はある時、純真で可愛らしい女性と出会う。しかし彼女には、意外な素顔と凄惨な過去が……。
バツイチの洋人は、出会い系サイトで可愛らしい女性の愛美と知り合う。「『付き合おう』とか言われたら無理」
最初にそう言われたため、二人の関係は曖昧なまま。
だけど、どこか謎めいて魅惑的な態度をみせる愛美に、惹かれていく気持ちは止められなくて……。
それは狂気か、それとも純愛か――
謎が謎を呼ぶ展開か目が離せない、ミステリアス・ラブ!
作者からのコメント
しかし、サイト上で人気を博することも賞を手にすることも叶うことはなくて。書くことに疲れ果てた時に、ふと辿り着いたのがこのサイトです。
『官能』なんて自分に書けるの?
大きな不安と小さな期待を胸に、名を改めた私は闇雲に書き始めました。
作品名『曖昧なままに』とは、当時の私の心理そのものだったのかもしれません。
初めて書く官能小説の世界とは、こんなにも奥深いものなのか。その大変さを痛感しながらも書き続けていられたのは、やはり理由があって。
拍手をいただけば歓喜し。僅かずつ閲覧数が伸びれば新たな勇気をもらい。しおりが減った日は落ち込みもするけれど。苦しい時には、温かいレビューやメッセージが支えてくれていた。
言葉では言い尽くせませんが。皆様、本当に本当に、ありがとうございました。
書き上げた時の充足感は、今までに味わったことのないものとなりました。なので、この作品が評価されない時は、書くことを諦めようと素直に思うことができたのです。その結果――。
今回、書籍化にあたり文章を幾度となく見直しました。全体的に細かな修正を加えつつ、それは何度直しても完成形が見えない難解なパズルを前にしたような心境です。
書籍版での変更点は主に二か所。
ひとつは全体的に書き直した第九章。洋人と愛美が演じている“役柄”に変更が……。
もうひとつは、賛否の分れたラスト。意識したのは読後感を変えることでした。ですがそれは本来のラストを変えたという意味ではなく、私の中に元々あった想いを繋げ語り直したもの。
一度止まった映画のフィルムがエンドロールの後に、僅かなワンシーンを映し出すように。
Web版を読んだ上で本を手にしてくださる方には、特別な感慨を得ていただけるものと信じたいです。
作品のイメージを見事に彩り広げてくださったのは、黒田うらら様の美麗なイラスト。
初めてカバーを見た時の感動は、決して忘れません!
洋人もイケメンだし(嬉)、文中の挿絵では愛美や奈央の艶やかなシーンにも注目です。
一冊の本になるまでの道のり。そこに携わる真摯なプロの姿勢に触れられたことは、私にとって掛け替えのない経験です。書籍化に際しご尽力いただいた一迅社様には、感謝が尽きることはありません。
最期になりますが、全ての結びつきの元となった素晴らしいサイトの更なるご繁栄を切にお祈りいたしながら――。
成巳 京