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すでに滝沢にはレイプされた美緒に対する同情と、美緒を守ってやれなかった罪悪感が勝って、美緒の乳首に視線を向ける余裕がなかった……。

そのときだった。

パイプ椅子のとなりに立っている滝沢が、さっきまでは“目隠し”に使っていた和馬の競泳水着を、謝罪を繰り返している和馬の口に押し込んだ。

“お調子者”の滝沢は、今様に言うところの「チャラ男」だ。

登校するときですら、「高校生」として許される限界まで小洒落た格好をしている。

でも「陽気」といえば聞こえがいいが、豊富に並べる言葉の大半は、「不誠実」に満ちている。

とりわけ女子に対してはそうで、素直な女子を“口先三寸”で騙すことに躊躇を感じない、軽薄な男だった。

一方の高崎は、滝沢に比べればずっと口数の少ない男だった。

神からの“授かりもの”だろうか――。

水泳の鍛錬は怠けているにもかかわらず、琥珀のような色をした高崎の肉体は、まるでギリシャ彫刻のような美しさに満ちていた。