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戦国×ミュージック
第2章 アイドル養成☆shima'z事務所
『shima'z事務所、発足!』
島津家は鎌倉の時代より続く名門だが、時の流れにより栄光は失われ、本来の領土である三州の一部を敵に奪われていた。その三州を取り戻し、かつての栄光を取り戻す。そんな悲願を持つ当主・貴久の元に生まれたのが、後に「島津に暗君なし」と称される島津四兄弟だった。
「我が息子達よ。我が島津芸能は、今やライバル事務所に仕事を奪われ倒産寸前だ。この苦境を脱するため、新たなアイドルを生みだそうと思う。もちろんリーダーは、長男であるお前、義久だ」
「アイドル、か。しかし親父、アイドル戦国時代の今、ただのアイドルじゃ続かないぜ?」
「無論、ただのアイドルではない。歌はもちろん、映画やドラマ、スポーツやクイズ番組など、なんでも体を張って挑戦する万能アイドルを目指すのだ」
「なるほど、確かに俺達兄弟は、それぞれ強い個性を持っている。それをまとめれば、アイドル界――いや、芸能界を征服出来るビッグスターになれるだろうな」
「そこで、まずは事務所を改名しようと思う。今日からここは『shima'z事務所』だ!」
「アイドルのフレッシュなイメージにあった、いい名前だな」
「島津の未来はお前達に掛かっているんだ……you、頑張っちゃいなよ!」
四兄弟の祖父・日新斎は四兄弟の長男を「総領に相応しき器」と大層可愛がり、自身が隠居前に使っていた「忠良」の名を与えた。が、色々あって後に忠良から義久に改名したため、義久の名で世間には認知されている。
義久が総領であり、他の兄弟はあくまで兄を盛り立てるための存在である、と徹底的に教えた日新斎の教育のおかげで、島津は後々秀吉が仕掛けた離間の計もなんとか乗り切っている。父・貴久の才はもちろんだが、祖父・日新斎の教育が「島津に暗君なし」の礎と言えるだろう。