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続・捨て犬
第10章 がんばりたい
「エミ」


「ん?」


「赤ちゃんを
もう少し待ってほしい理由
実は、もうひとつあるんだ」


「もう・・ひとつ?」


「あぁ、大事なこと」


「うん」


「赤ちゃんは
うさぎじゃねぇ」


「・・・うん」


「赤ちゃんを産んで
育てるってことは
めちゃくちゃ大変なことなんだ。
ひとりじゃできねぇ。
もちろん俺も手伝うけど
仕事いっちゃうだろ?」


「・・・・うん・・」


「エミが一人で
病院に連れていったり
大きくなったら
幼稚園に連れて行ったり
いろんなことがあるんだ」



「・・・うん」



「他人と係わらなきゃ
いけねぇって
ことなんだよ」



「・・・・・」


もう

俺の言いたいことは
エミに伝わったようだった


「エミ、時間かかったけどさ
萩原のおばさんや
由香ちゃんと
仲良くなったろ?」



「ん・・」



「そうやって
これから二十歳になるまで
少しずつ
人と係わって
少しずつ
慣れていってくれたら

いいママになれるって
俺は思うんだよ

今、ママになったら・・・

エミ・・大丈夫か?」


エミは
大きく首を横に振って
すがるような目をした


「大丈夫
エミはいいママになれるよ

ゆっくり
やっていけばいいんだ

応援するから

助けてやるから

辛かったら
またやり直しでいいんだから」




「カズマ」


「どした?」






「がんばりたい」



泣きそうな気持ちを
俺は
必死で抑えていた


俺が
泣いてる場合じゃねえだろ
って。


「赤ちゃんが
好きか?」


「うん」


「かわいいなぁ・・・
エミ・・めちゃめちゃ
好きだよ」


そう言って
エミの
返事を聞かないまま
俺は
エミに深いキスをした


どんなことをしてでも
エミを
ママにしてやろう

どんなことがあっても
みんなに
祝福されながら
結婚しよう


そう思いながら。
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