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続・捨て犬
第21章 最終章⑤・・・完結

「んっ…っ…カズ…ん…」


なかなか
キスをやめない俺の腕を
エミが強く握った


「なんだよ…もう降参か?」


って言いながら
俺は
エミの濡れた唇を拭った

ほんとは
自分も熱くなってんだけど


「早く欲しい」


やめろよ
そのセリフ

違うもの
欲しがってるみたいじゃねーか


「ねぇ、カズマ」


仕方ねぇなぁ

じゃあ…違うものは後で


「わ、わかったわかった」


そう言いながら
俺はテーブルの上の
ペンを手にした

それから
ワクワクした顔のエミに
ちゅっ…と
もう一回キスをして

紙切れに
二つの文字を書いた



『笑 実』



「これ、エミの名前。
漢字にして
表札出そうな?」



「………」



相変わらず

目で会話する癖の抜けない
エミの
「ありがとう」を
聞くことはできなかったけど

エミが
すごくすごく、すっごく
嬉しそうに
笑ったから


それでいいと思った。


それからエミは

「緊張する…」

って言いながら
プレートに
『笑実』って書いて


俺に抱きついた。



ありがとうの代わりに


「カズマ…好き…」


って言いながら。





…完…
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