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1000文字で綴る男と女の物語
第19章 『嫉妬』
俺は妻、幸恵の大学時代からの友人、法子を呼び出し問い詰めた。
「幸恵が浮気しているみたいなんだ。君は何か心当たりはないか?」
法子は唇に少し笑みを浮かべて、上目使いで俺を見上げ答えた。
「ばれちゃった? 実はそうなの」
事は重大なはずだが、彼女の様子は、まるでいたずらを見つけられた子どものようだった。
「相手は誰だ!」
声を荒げ、問い詰めた。
「聞きたい?」
笑みは消えない。
「当然だ! 俺の妻だぞ!」
大声を上げた自分に驚いたが、これは夫としての当然の感情だろう、何もおかしいことはない。
法子が俺の目を見つめ話し始めた。
「この前、幸恵と私二人で温泉旅行に行ったでしょ? その時旅館で知り合った大学生」
「大学生!」
確かに一ヶ月前、幸恵と法子は連れ立って温泉に行くと出かけていった。
「温泉からあがった後、話し掛けられて、カラオケで意気投合して、そのあと彼達の部屋でお酒を飲んでるうちにね……ちょっと強引にね……そうなっちゃったの……それから今も会ってるみたいよ」
「あいつ、ヤッたのか? その学生と」
それには答えず、記憶をたどるように法子の瞳が上を向く。
「最初、言い寄られたとき嫌がったけど、強引にキスされたら、その後はなし崩しだったわ……浴衣の前から手を入れられ胸を揉まれ、あそこを舐められ、いつの間にか幸恵、彼のもの咥えてたわ……彼のね、すごく大きかった……」 
幸恵が口をすぼめ、男のものを出し入れしているイメージが頭を過る。
「幸恵、入れられるとき、すごい、すごい、って何度も叫んでた」
幸恵の声が聞こえたような気がした。
「最後には自分から、中に出して、って言ってわ」
「なんだと!」
「彼のお尻を掴んで何度も自分に引きよせてた」
そう、幸恵は俺とするときも最後はそうする。
俺は拳を握りしめた。
「嫉妬してるの? ずいぶん興奮しているみたいだけど」
それに答えず、訊いた。
「君はその時どうしてたんだ?」
「私? 私は、もう一人の男としてたわよ」
「なに? 君もヤったのか?」
「ええ、たまに若い子とするのもいいわね」
唇の片方が吊り上る。
不意に下半身に込み上げてきたものに堪え切れず、俺は、法子の中に吐き出した。
法子が下から俺の頬を撫でながら、からかう目で言った。
「今どっちを想像してイッたの? 幸恵? それとも私?」

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