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1000文字で綴る男と女の物語
第48章 『初夢』その2
ふと、目が覚める。
見慣れない部屋の景色。
そうだ、ここは温泉旅館の部屋だった。
自分が、彼の胸に頬を当てていることに気づく。
乱れた布団、シーツ。
散らばった私と彼の浴衣。
日の光がカーテンの隙間から部屋の中に差し込んでいた。
初日の出だ。
でも今は起きあがってそれを愛でるより、まだこうして彼の腕の中にいたい。
私の中から彼のが、まだ溢れ出続けているのがわかる。
彼の顔を上目使いで見上げる。
若く精悍な顔つき、引き締まった身体、スマートな身の振る舞い。
若いときこんな彼氏がいたら、さぞかし友達に自慢しただろうな、そんなことを思った。
なぜこの人が、私なんかと……それも、子持ちの人妻のおばさんなんかと……。
彼は前に言った。
街角で君を見かけて、一目惚れしたんだ、と。
でも理由は嘘でもいい……今感じるこの体温は嘘じゃない。私の中から溢れ出てくるあなたの愛の証は嘘じゃない。
それが事実だと思うと、言葉に出来ない、切なさと興奮のようなものが沸き上がり、胸が締め付けられた。
三十五年間生きてきて、こんな感情を持つのは初めてだった。
夫とも恋に落ちて結婚したが、こんなに相手を恋い焦がれる気持ちは抱いたことはなかった。
彼が目を開け、こちらを見る。
微笑む。
私は口を開いた。
「もう一度して……」
彼の下半身に手を伸ばす。
柔らかく、力なく倒れている。
しかし指でさすっていくうちに、どんどん硬くなり、熱を帯びていった。
そしてもう指が回らないくらい太くなり、ぱんぱんに硬くなった。
「おいで……」
彼はそう言うと、私を自分の身体の下に導いた。
私は仰向けになり、躊躇なく脚を開き彼を受け入れる。
もうお互いの体液で潤んだ私の中に、難なく彼の太いものが入って、奥に突き当たった。
「ああんっ!」
彼が動き出す。
「ううっ……やっぱり君は最高だ……あんなに出したのに……もうまた出そうだ……」
端正な顔が、苦痛を与えられたように歪む。
この顔を快楽で歪めているのは私?
彼の顔を両手で挟む。
ああ、もっと歪んで!
私の身体で歪む顔を見せて!
「ああっ、だめだ! もう出ちゃう!」
「いいわ、出して!」
見せて! 昨日、暗闇で見れなかった快楽に歪む顔を!
この初日の出の中で!
そのときだった。
目覚まし時計のベルの音が聞こえた。
目を覚ますと隣で夫がいびきをかいていた。

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