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電動人形
第13章 李下に冠を正さず
怪しい男が電車を降りてしまった。

何かが起こることを期待していたのに、
暇をもて余していた私は、少し残念に思った。

でも女性はどうやって降りるのだろう。

やはり何か起こるはずだ。

この車両が車庫に入る回送になるまで3時間以上、私はいつもそれを見届けるのが日課だ。

二人が乗ってきた駅をあと二回通過する。
回送になるまでに男が迎えに来なければ、やはり犯罪なんだろうか。

李下に冠を正さず。君子危うきに近づかず。

面倒なことに巻き込まれたくないが、変わったことが起こるのは退屈しのぎになる。

私は傍観者という部外者に徹することにした。
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