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君のKISSに夢☆CHU
第12章 俺様系の兄
しばらく待っていると、暗い夜道を軽快に走る車の光が見える。
近くに停まったその車は、今時珍しい赤いスポーツカー。
昔は流行っていてよく道で見かけたけど、今はほとんど見る事もなくなった。
そんなど派手な車を見ていると、窓が開いて中から輝愛の声が聞こえた。
「桜音。待たせたな。乗れ。俺の家行くぞ。」
私の前に停まった車のドアを開けて中に乗り込む。
中はスポーツカーだから、あまり広くはない。
でもその分、輝愛との距離は近い。
薄暗い車内。
微かに香る甘い香り。
流れるBGM。
非日常的な二人きりの空間。
隣の輝愛を見ると、長い指にタバコを挟み、遠くを見つめてタバコを吸っている。
普段あまり見れない輝愛のタバコを吸う姿に、みとれてしまう。
どこか哀愁を感じるその横顔に、私のドキドキは止まらない。