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ハツコイ♥アゲイン
第2章 兄妹格差
……運命運命って言い過ぎなんですけど。
誘導されたこの状況に、ニコニコ笑えるわけないんですけど。
「行こうぜ香」
「あ、は、はい!」
携帯をポケットにしまったお兄ちゃんの手に、慌てて香さんが手を乗せた。
2人に続いて、お母さんが溜息をついて立ち上がる。
「なによ彰。
結局は胡桃にそれだけを言う為に来たってこと?」
「うん」
「まったくもう、お昼くらい食べていけばいいのに。
あり合わせでいいならすぐ作れるし」
「また来るから」
……実家に寄る息子なんてこんなもんだ。
あっさりと断って、お兄ちゃんは涼しい顔をしてリビングを出て行く。
「………」
妹の為に、自分の友達と強制的に飲み会を開催
それだけを伝える為に訪れた、滞在時間は約10分……
「……い、意味不明……」
立ち尽くす私は、もう開いた口が塞がらなくて
黙ったままその後ろ姿を見送るしかなくて
── そう
この時は、まだ知る由もなかった。
お兄ちゃんの真の企みも、狙いも
当日に受ける衝撃的な展開も
予測なんて絶対に出来るわけが無かったんだ ───
“ もしかしたら 、運命の出逢いがあるかもしれねぇよ? ”