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第5章 妹の元カレ×元カノの兄

「時差８時間、１万キロ以上離れてるんだ。
割と急ぎめで決めた式だったし、来れなくて当たり前だよ」


そう言って顔を上げるように促して、俺は再び煙草に火を付けた。


「陽向が当日に贈ってくれた、ペアのワイングラス。
この前の結婚記念日に初めてあけたよ」

「………！」

「香が、綺麗でもったいなくて使えないって。
この１年間ずっと観賞用だった」


スペインを代表する、偉大な近代建築家。

その有名なステンドグラスを彷彿とさせる、パステルカラーが美しいペアグラスは
陽向のセンスの良さを表す、嬉しいお祝いの品だった。



「……香、ね。
立花香。いい名前だな」

「………！」

「気に入ったんなら、何より」


安心したように、笑顔を取り戻した陽向。


「メールでも言った通り、今回は９月まで居るから。
都合のいい時に会わせろよ…」

「なぁ、陽向」