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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第9章 詫びのしるし
ふたつの珈琲を手に車に戻った時は、葉川くんは何をするでもなく前を向いて固まっていた。
今どき、時間ができると意味なくスマホをいじる人たちばかりな世の中で──彼のこういうところは好感が持てるかも。
ただその固まっている間、いったい何を考えているのか掴めないから困っているのだけれど。
「戻ったわ。…確認だけど、君はコンビニの珈琲も飲める人よね?」
「もちろんですよ。いただきます」
──
飲み終えた珈琲のカップを置いて、私は仕事用タブレットPCでメールの整理をし始める。
ついでに今後のスケジュールにも目を通しながら、毎日の経過の速さを痛感していた。
そろそろ本格的にコンペに向けての案を固めていかないと……。
「葉川くんはSAコンペの…──」
「……」
「──…、…なに?」
一緒にコンペを任されている彼と今後の方針を決めていこうと声をかける。
…すると
私が呼ぶ前から彼はこちらを見ていたらしく──
「…どうかしたの?」
葉川くんに見つめられて一度 口をつぐんだ私は、面倒だと思いながらも用件を尋ねた。