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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
見える世界がガクンと下がって
歩道のアスファルトが眼前に迫ってくる。
「…っ」
だけど──反射的に前に突き出した手がアスファルトに付くことはなかった。
「だから僕があの時、代わりの靴を選んだのに」
「…ッ…、葉川くん…!」
「こんなに高いヒール靴──…さっさと脱いでしまえばいいんですよ」
倒れた私を両腕で抱きしめる彼はそんな事を言ってのけ、咄嗟の時に危ないでしょう?と付け加えた。
地面に膝をついて座り、こける直前の私を下から支えながら──
さりげなく、落とした筈のスマホまで彼はキャッチしている。
周囲の歩行者の注目を浴びる中で、葉川くんのどさくさにまぎれた強い抱擁を受けることになったのだ。